膵性糖尿病について

なんらかの膵臓の疾患に伴い、インスリン分泌能が低下し、糖尿病を発症する症例を膵性(すいせい)糖尿病と呼ぶそうです。成因は急性・慢性膵炎、膵癌、粘液産生腫瘍、先天性膵形成不全などがあります。

2005年の疫学調査では、膵性糖尿病は、人口10万人あたり15.2人で、成因は慢性膵炎40.0%、膵癌24.6%、膵切除後10.2%、急性膵炎7.5%、自己免疫性膵炎6.1%の順でした。

膵性糖尿病患者は、インスリン分泌不全が病態の中心で、やせている人に多い事が特徴です。進行するとインスリン分泌のみならず、グルカゴン分泌も低下するため容易に低血糖になってしまうというジレンマがあります。概ね1型糖尿病のような症候を示し、糖尿病の典型的な症状といわれる口渇、多飲、多尿、体重減少がよくある症状です。

<インスリン療法>

基本的には1型糖尿病に準じて強化インスリン療法が適応です。軽症例では経口血糖降下薬が有効な事もありますが、インスリン依存状態に容易に陥る可能性がありますので、注意が必要です。

膵性糖尿病では、通常の糖尿病よりも低血糖になりやすく、長引きやすい事が多いため、ブドウ糖を常備する必要があります。これは膵臓から分泌される「グルカゴン」という血糖値を上げる効果のあるホルモンも分泌が低下しているためです。このため、膵性糖尿病では一旦低血糖になると、血糖値が上がりにくい場合が多いす。(他にも色々な影響があります)

通常の糖尿病の患者さんのような厳格な血糖コントロールは避けて、低血糖を起こさないコントロールが重要で、HbA1c 7%前後を目標に設定するのが良いとされています。

低血糖の予防には ①低血糖症状にはどのようなものがあるかを知っておくこと ②自己血糖測定を習得して適宜血糖測定を行うこと  が重要です 。

(「一般社団法人 日本内分泌学会HP」「暮らしに役立つ医療のおはなし」より引用させていただきました。)

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